こだわる人を変えるにはこだわりを使う


論理思考・選択(BL3C)の授業では時々、各人の具体的なテーマを持ちこんで、みんなで考えます。そんな中で興味深いテーマが持ちこまれました。

ある受講生のお母さんは、最近、忙しすぎて、見ていて心配になるほどなのだそう。仕事での責任が大きくなってきたのが直接の原因ですが、母親(シングルマザー)として責任感が強く、家族に家事をやらせたがらないとのこと。そこで、どうしたら家族(子どもたち)を頼れるようにできるか?というのが今回の課題でした。

学生たちはまず「子どもたちが引き受けられるようになる」というのを考えていました。確かにそれは必要です。料理など出来ること、しかるべき時にできるように家にいること、そしてやる時間や快く引き受けられる気持ちの状態にあることなどですね。

ただ、肝心のお母さんが「頼ろう」という気持ちにならないと、十分な変化は起きません。しかし、お母さんにはこだわりがあるようで、そこを変えるのはなかなか難しそうです。そこでどうするか?

きのう話したのは、ここでこそ、論理思考の「目的を押さえる」考え方が使えるということでした。世の中的に言えば「こだわる人を変えるには、こだわりを使え」という感じです。お母さんは「家事は母親の役割!」と、こだわっているわけですが、その先には「それが家族の健康と幸せな日々につながる」という目的が考えられているはずです。また、それを守るのは母親のミッションである、と考えているのでしょう。

であるなら、ここを起点にお母さんの説得をすると良さそうです。例えば「お母さんが健康でいてくれてこそ、家族は幸せな日々を過ごせるので、そのために家族が家事を分担できるようにすることがこの状況ではお母さんの大事な任務では?」と話すわけです。また、子ども達の将来まで考えれば、あらゆる家事を出来るようになっておくことが、彼らの幸せな日々につながるので、そうできるように今から家事をいろいろやらせるのもお母さんの大事なミッションである、というアプローチもあります。

このように、相手がこだわっていることがある場合、それを否定し倒す説得ではなく、提案が実はこだわっていることの本質により合うものである、と説得する手があります。