自由研究の、本気テーマの見つけ方

自由研究シリーズ?その2です。前回、「本気で取り組みたくなるテーマの見つけ方」を指導する、と書きました。が、「そもそも自由研究なんてそんな高度なことに多くの生徒を本気で取り組ませることがことができるのか?」という声も聞こえてきそうです。
 
確かに、「めんどう」「かったるい」が口癖の生徒達を相手にした時、これはなかなか難しそうです。僕自身、この方法を試したことがあるのは立教生と淑徳与野中学の生徒たちだけなので、もっと広く行ってみると、違う難しさがありそうです。
 
ただ、少なくとも「テーマの見つけ方」について何も指導されていないのが現状ならば、そこからは前進できるのではないでしょうか。全てを解決できる必要はなく、まず現状よりも前進できればいい。
 
注目するポイントは「勉強苦手」「覚えるのも考えるのも苦手」と言っている子達でも、好きなプロスポーツの選手やゲームのキャラクターについては、驚くほどいろいろ知っていたり考えていたりしていることです。能力はちゃんとあって、スイッチの入る条件さえそろえばかなりやれるのではないか、と考えています。
 
そのスイッチが入る領域を僕らは今回「テーマ原石」と呼ぶことにしました。そして「テーマ原石」が埋もれている鉱山から、原石を掘り出します。その鉱山とは、生徒本人の、過去、現在、そして未来です。
 
「過去」の大きな体験(「インパクト体験」と呼んでいます)には、本気になれる疑問・問題意識や欲望が隠れている可能性があります。例えば「かわいがっていたペットが死んですごく悲しかった」経験があったとしたら「もっと長生きさせられなかったのか?」という問題意識や「どういうことが思い出を印象深くするんだろう?」と考えられるかもしれません。
「現在」で原石が見つかりそうなのは、好きだったり熱中していることや、気になることの中です。例えばクラス対抗の合唱コンクールにがんばっている生徒は「どうしたらクラスが団結できるだろう?」と頭を悩ませているはず。あるいはバスケに熱中していて「もっとジャンプ力をつけたい!」と思っているかもしれません。そしてこれらがテーマ原石になり得ます。
一方、好きではないけれども気になっていることもテーマ原石になり得ます。例えば健康にまずいレベルの肥満だとしょっちゅう言っているのによく飲み食いしているお父さん、いったいどうしてなのか、それをどうしたら変えられるのか?とか。
 
「未来」のテーマ原石と言えば、夢や、なりたい職業です。ただし「医者になりたい」「どうしたらなれるんだろう?」では、あまり考えるところのない、調べるだけの研究になってしまう恐れがあります。それを「研究」にする方法については、また改めて書きたいと思います。
 
こんな感じで「過去・現在・未来」から探ってみると、特に中学1年生では、たくさんテーマ原石が出て来ました。そういうテーマ原石からもっとも研究に適したものを選んで「成功体験」につなげられれば、2年生以降はまたおもしろく取り組め、高いレベルに到達できるのでは、と考えているところです。

自由研究は宝の山?

【自由研究は宝の山?】
 
自由研究というと、夏休みの宿題で一番めんどうなやつとか、よくわからないやつ、という印象があるかもしれません。結局、時間切れで適当なものにしてしまって「とりあえずやっつけた」という経験をお持ちの方も多いと思います。僕自身、息子たちの自由研究を見ていて、そうなりやすいことはよく分かります。
 
しかし、埼玉県の淑徳与野中学・高等学校という中高一貫校のお手伝いをさせていただく中で、今年はこの自由研究(創作研究と呼んでいます)を中学校の重点テーマに設定しています。しかもこちらでは夏休みだけでなく、1年近くかけて取り組みます。それは創作研究・自由研究は実は宝の山であり、まさに今、我々が欲しいものが含まれている、と先生方と考えたからでした。
 
創作研究・自由研究が宝の山だと考えるのは次の3つの理由からです。
・「考える」機会になる
・学ぶことの価値を感じる機会になる
・生徒たちが自分の興味・関心領域を探る機会になる
一言で言うと、生徒達の中に「学ぶエンジン」を作っていると言えるかも知れません。
 
しかし、自由研究というのは一般的にもこういうことを目指しているはずで、それが起きていないとしたら理由があるはずです。その理由をクリアしない限り、こちらでも同じことになってしまいます。ということで確認した理由は次のようなものでした。
 
まず、本気で取り組みたくなるテーマの見つけ方が教えられていないことです。小学校の自由研究においても、テーマ例は紹介されていても「自分にとって気合いの入るテーマの見つけ方」は教えられていません。
2つ目は、本気で取り組みたくなるテーマは対象外とされてきたこと。例えば女子中学生だと「ジャニーズの○○」とかアニメ、ディズニーランドには高い関心がありますが、これらはテーマの対象外とされがちで、結果としてさほど関心はないが手頃だと思われるテーマでお茶を濁しがちです。
 
そして3つ目は「『調べ』で終わってもやむなしとされてきた」ことです。例えば「印刷の歴史について」本をいくつか読み、それをまとめて終わり、というようになりがちです。それはそれで価値はありますが、「考える力」を高めることにおいては限定的です。
 
そこでこれらをクリアするため今回は、
・本気で取り組みたくなるテーマの見つけ方を指導する
・研究になりうるなら基本なんでもOK
・調べで終わらないテーマの切り出し方を指導する
ことにしました。
 
これらの結果、なかなかおもしろそうな研究が行われつつあります。また先生方の指導方針検討会議も、とてもおもしろいものになっています。では、上記を具体的にどのようにやっているのかは、長くなってきたのでまた改めて書きたいと思います。